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1940年体制

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<amazon>4492393951</amazon> 1時間程でぱらぱらとめくったのだが、数字の裏打ちが多く、本来ならかなり読破に時間がかかりそうな本である。

本としては1995年に出版された。日本の高度経済成長を引っ張ったのは1940年体制とよばれる戦時体制だろうという説。イタリアとドイツは国家ファシズムとして淘汰されてしまうのだが、日本では軍部と財閥が戦争を主導したとされたため結果的に生き残る。

ファシズムというと暴力主義だと勘違いされそうだが、もともとの意味は国家社会主義という意味。その後日本の終身雇用と国民年金、健康保険は「もっとも成功した社会主義」といわれることになるので、多分この1940年体制説は間違っていないだろう。もともと昭和大恐慌(1929〜1930)によって作られた体制なのだが、60年以上経って経年劣化してしまった模様。

外的環境が変わったので、制度も破綻してしまったという考え方なのだが、もしも優秀な制度だったら外的環境の変化にも対応できていたものと思われる。何が変わってしまったのか、それとも単なる劣化なのかという点については語られない。 コンドラチェフの波という言葉がある。大体1920年代から始まり1980年代に終わっている。新しい波は1980年から始まって、今は成長期にあたる。東洋では、60年の歴年が始まる甲子が1924年と1984年だ。1940年体制はこの波に一致している。だとすると、日本の停滞は、1980年代に新しい体制を作れなかったことに原因があるのではないかと思えてくる。