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着想方法

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アネット・モーサー・ウェルマンは発想の方法を5つに分類する。ビジョンだけがすべてではないということがわかる。イノベーションの達人の人類学者はここでは「観察者」として登場し、花粉の媒介者は「錬金術師」と共通している。ハードル走者に代表される逆境の大切さは「愚者」が教えてくれる。「賢者」は初めて出てきた。これは細かいことを見ないで物事を単純化する才能だ。

これらをすべて使いこなすことができればいろいろな発想を行うことができるだろう。モーサー・ウェルマンの本は、着想法には偏 りがあるという。自分の傾向を知り、他の着想法も学べば、いろいろな着想ができるようになる、というのがウェルマンの指摘だ。

先見者/ビジョン

イメージする力がある。完成形が既に見えている。よく「ビジョンがある人」 というが、モーツアルトのように「聞こえている」人もいる。一度形ができてしまえば、あとはそれを形にするだけなのだ。建築家にも図面に起こす前から自分の作りたい形 が見えている人がいる。しかしビジョンはシェアしにくい。創出者が権威者になると取り巻きは帝国を作り出してしまうかもしれない。創出者がいなくなると文化が失われ帝国が傾くといったようなことも起こりうるだろう。

ジェームズ・C・コリンズとジェ リー・I・ポラスのビジョナリーカンパニーは、このようなビジョンを一人の人に持たせるのではなく、ビジョンを作り出せる組織が長続きしていると指摘する。彼らはビジョンを「時計を作る」と表現する。これはニーズをリサーチするのではなく自らテンポを作り出す牽引型のアプローチだ。しかし、イメージにこだわりすぎると、誰からも必要とされていないものを作り出してしまう危険性がある。

観察者/観察

細かいことに気がつく。好奇心があり、不満に気がつく。 ケリーのイノベーションの達人に出てくる人類学者は「観察者」の代表だろう。外側にあるいろいろなヒントを元にアイディアを形にする。どこへでも出かけていってヒントを探る。ただし、観察対象は人に限らない。例えばフナクイムシを観察していてトンネルの堀り方を思いつく人もいる。(結びつきを参照の事) 詳細にこだわり過ぎ、間違ったことを類推することに注意。

錬金術師/転移

領域と領域をつなぐ。誰かのアイディアを別の領域で利用する。例えばアメリカで流行しているものを日本で使うといったものから、金融商品のリスク管理手法をプロジェクト管理に用いるなどの領域横断的なものもある。アイディアを産むのに他人の刺激をアテにしすぎていないかチェックしなければならない。 イノベーションの達人に出てくる花粉の運び手がこれにあたる。 クレイトン・クリステンセンイノベーターのジレンマでローコストの代替製品はやがて既存の製品を駆逐すると言っている。これを逆に考えると、人の真似ばかりで着想していた企業はやがて真似をする企業を失ってしまうことになる。それでも、人真似は創造的ではないということにはならない。

愚か者/失敗

間違いや弱点を生かす。弱点を反転させる。よく引き合いに出るのは、エジソンが100種類のフィラメントを試して日本の竹にたどり着いたという話。一方、ノーベル賞を受賞した白川博士は、一見失敗に思われた実験から、伝導性ポリマーを発見したという。愚か者カテゴリーには失敗を重ねてついに成功にたどり着く方法と失敗そのものが新しい発明に結びつく方法があるわけだ。 限界ぎりぎりまで耐えてしまう。 見込みのないプロジェクトに時間をかけすぎてしまうなどに注意しなければならない。エジソンのフィラメント実験は100種類で終わるのか、1,000種類まで続くのか、それとも正解などないのか日本の竹に行き着くまで分からない。今では竹は使われておらずタングステンに取って代わられた。

学習についても参照のこと

賢者/単純化

歴史を見つめ高次の目標を立て状況を単純化する。 右脳左脳の研究から、細かなものを「統合する力」を右脳的と見なし、分析的な方法(こちらは左脳的とされる)よりも重要だと見なす人がいる。マクロ的な見方はアイデアを生む小さな可能性を無視してしまう場合もある。